エキゾチック診療科とは
エキゾチック診療科は、犬猫以外のペット動物(エキゾチックアニマル)の診療を専門に行う部門です。 ここでの「エキゾチックアニマル」とは、以下のような動物を指します。

ウサギ

齧歯類
(ハムスター、モルモット、デグー、チンチラなど)

フェレット

ハリネズミ

モルモット

鳥類
(インコ・オウム・文鳥など)

爬虫類
(カメ・トカゲ・ヘビ・ヤモリなど)
これらの動物は犬や猫とは異なる生態・解剖・生理的特徴を持っており、診療には種ごとの専門知識と技術が不可欠です。
当科では、診療が難しいとされるケースにも対応できるよう、
- 適切な飼育指導
- 種別に合わせた診断・治療
- 高度医療対応
を含めた総合的なサポートを提供しています。
代表的なエキゾチックアニマルの疾患
動物種によって発生しやすい病気は異なりますが、代表的なものを以下にまとめます。
種類 | 主な疾患例 |
---|---|
ウサギ | ・不正咬合(奥歯の伸びすぎ) ・消化管うっ滞 ・子宮疾患(腫瘍・蓄膿症など) |
フェレット | ・インスリノーマ(膵臓腫瘍) ・副腎疾患(脱毛・ホルモン異常) |
ハムスター / モルモット |
・不正咬合 ・皮膚疾患(ダニ感染・真菌症) |
鳥類 | ・羽毛異常(栄養不良) ・そのう炎 ・オウム病などの感染症 |
爬虫類 | ・代謝性骨疾患(カルシウム不足) ・ ・マウスロット 呼吸器感染症(温度管理不良による) |
さらに、どの種類にも共通して見られる病気として、
- 腫瘍(良性・悪性)
- 寄生虫感染症
などがあり、適切な診断と管理が求められます。
検査方法
エキゾチックアニマルの診察では、
視診・触診
全身状態の確認
糞便検査
寄生虫や消化状態の評価
血液検査
貧血・感染・内臓機能の
チェック
レントゲン検査
骨格や臓器の形態確認
超音波検査(エコー)
腹部内臓の詳細な観察
皮膚検査/細胞診
皮膚疾患や腫瘤の評価
治療方法
治療は、薬物療法と飼育環境の見直しを組み合わせて行います。
代表的な治療例
ウサギの消化管うっ滞
胃腸運動促進薬
+輸液+高繊維質の給餌管理
皮膚疾患(全種)
小型動物用の抗菌薬
抗真菌薬、毛刈り、局所処
鳥の感染症
飲水投薬や注射、ネブライザーによる吸入療法など
爬虫類の代謝性骨疾患
カルシウム剤・ビタミンD3補給
+紫外線・温度環境調整
加えて、飼育環境(温度・湿度・栄養・光環境など)の整備指導も治療の一環として行い、再発予防に努めます。
手術方法
小さな体のエキゾチックアニマルでは、麻酔・手術は特に慎重な対応が求められます。
当科で実施する代表的な手術
- ウサギの避妊手術(子宮卵巣摘出術)
- 皮下腫瘤の切除
- 歯の不正咬合に対する抜歯・整復処置
- 鳥の骨折整復、断翼手術
当院のエキゾチックアニマルの手術では、
- 体温維持(保温)
- 術前の状態評価
- 術後の給餌サポート・痛み管理
に十分に配慮しています。
できる限り動物への負担を減らした安全な手術を行うために、細心の注意を払っています。
その他特筆すべきこと
エキゾチックアニマルは以下のような特徴があります。
- 不調を隠す傾向がある
- 診療できる病院が少ない
そのため、以下のような早期の対応と配慮が非常に重要です。
飼い主様へのお願い
- 「いつもと違う」食欲・排泄・行動が見られたら、早めにご相談ください
- 来院時は小型ケージやキャリー(上が開くもの)での安全な移動を
- 待合室では他の動物(特に犬猫)に驚かないよう工夫を
- 飼育環境(温湿度、栄養バランスなど)についてもお気軽にご相談ください
エキゾチック診療科は、飼い主様と大切なご家族(ペット)が安心して暮らせるためのパートナーです。どんな小さな変化も、お気軽にご相談ください。